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まさか、日本のバブル崩壊後、政府のゼロ金利政策によってだぶついたジャパンマネーが、アメリカのみならず、中国、あるいはインドといった新興国への投資に回り、それがめぐりめぐって世界の金利を下げ、今度は世界中にバブル経済を輸出することになるとは、だれも想像しなかったにちがいない。
こんなことは17年後のいまだからこそ、初めてわかることである。
「大混乱は大チャンス」というのが私の持論であり、たしかに17年前にもそのように書いたけれども、私が書くまでもなく、このバブル崩壊後の大チャンスに、個人は資産を高値で売り抜けていたのだ。
この17年間、日本では流通小売業の売り上げが一貫して下落してきている。
いきなり17パーセント、17パーセントと下がるのではなく、17パーセントずつ下落してきた。
現在、当時の17パーセントぐらいにまで下がっているが、むしろこれは、日本社会の成熟度、日本のダフさを示す数値ではなかろうか。
もし、アメリカではっきりバブル経済が崩壊したとなったら、いきなり17パーセントダウンなどといった事態が起こりうる。
個人消費が落ち込み、さらに雇用情勢も悪化しつつあることから、これがアメリカで現実のものとなる恐れは拭えない。
むしろ、それこそが「バブル経済崩壊」の結果というものであろう。
それが日本では起こらなかった。
日本人というのは、危機的状況になると不思議なしぶとさを発揮する。
生活者の豊かさ、したたかさを思い知る一例ではある。
17年のなかで、かつては規制大国だった日本でも、規制緩和がかなり進んでいる。
従来なら17年はかかっていた都市開発が瞬く間にできるようになった。
大手町、新宿、青山、六本木だけでなく、下町を見ても高層ビルが林立している。
バブル経済真っ盛りのときでも、こんなにはなかったはずだ。
それでいて街の清潔さ、治安と安全は、まだまだ世界と比較しようがないほどレベルは高い。
この17年間を通じて、いかに日本と日本人が成熟してきたかということがわかろう。
「失われた17年」は、その一面で「成熟の17年」でもあったのだ。
関係者の話によれば、サブプライム債の格付けでは、発行者からかなりきつい要請があってAAA(トリプルA)を取得できたというのだ。
たとえば、2月1日のCNBCで、格付け機関のスペシャリストによってその経緯が説明されている。
この格付け、2008年1月現在、格付け機関 M は、米国債を格下げ方向で検討し始めている。
会社と発行者の馴れ合い関係は、今後、大きな社会問題としてクローズアップされるようになるはずである。
それは、国際金融をいっそうの混乱に導くにちがいない。
数年前まで、格付け機関は投資家からフィー(手数料)をもらっていた。
しかし、債券発行者からフィーをもらう「コンフリクト・オブ・インタレスト」。
利害の対立のなで仕事をするとは妙な話である。
偽装、偽造、粉飾は中国や一部のレベルの低い日本企業の″お家芸″と思っていたが、アメリカまでがそうだったのか。
見方を変えればそもそも、エリートたちの習性と見るべきなのかもしれない。
格付けを信じた投資家へのお詫びか、各格付け機関が自らの格下げを検討しているという。
これもおかしな話である。
格付け機関の自己崩壊としか言いようがない。
存在意義を失った機関が存在できる理由はない。
早晩、消えてなくなる運命ではないか。
2002年2月、日本国債の格下げ検討を注意勧告し、 M はその3ヵ月後に実際に格下げを発表したことを覚えているだろうか?5月に円建て国債が2段階下げられてAA(ダブルA)になるやたいへんな騒ぎとなり、当時、財務省の首脳などが記者会見で激しく抗議したものだ。
「南アフリカと同じ格付けか!」米国債格下げ検討はジョークではなく、数ヵ月で実施されることになるだろう。
その混乱と動揺は、株式・債券市場を津波のように襲って、金融市場の混乱に拍車をかける。
ただし、基軸通貨がドル、円、ユーロで支配されながら、米国債をこれだけ世界中が保つというより、ボツワナより下の格付けだったのだ。
財務省の反応も当然だろう。
さて、米国債と日本国債の根本的なちがいはどこにあるか?日本国債はその17パーセント以上を日本企業と日本人が所有しているのに対し、米国債の場合は17パーセントが外国人投資家である。
これがなにを意味するか?17パーセント以上が日本人だったから、日本国債が格下げされても国際的な混乱はまったく起きなかった。
この日本国債を格下げした日が日経平均株価の高値となり、1年後に8000円割れの暴落につながった。
一方、円は1ドル120円台から105円台までの円高になった。
この事実、このモデルが、来る米国債の格下げにおいても働けば、国債の格下げはその国の通貨を強くし、株価を暴落させる。
一般人にとっての「非常識」を生むことになる。
2008年3月、大手モノラインにFBIの調査が入り、NYダウはその後大きく「ドル暴落!」と書いて喜ぶマッチポンプの評論家とちがって、実際に暴落したら困るグループが全世界にいるわけだ。
金融システムが大混乱になっては困るから、世界の銀行家、とくに中央銀行首脳はドル暴落回避のシステムをつくることになるだろう。
それが「擬似金本位制」なのか、「通貨バスケット制及びグリーンバック、ゴールドバック」なのかはわからない。
いずれにしても、2008年5月という直近の格下げの次に、大きな通貨制度変更が訪れるかもしれない。
早ければ3年、遅くとも5〜7年。
その間に準備をしておかなければならない。
2008年3月5日、J・R からメールが届いた。
すでにニューヨークの自宅を売り払って、シンガポールに転居してしまったというのだ。
ちょうどニューヨーク滞在中に、憧れの J のマンションを探してセントラルパークのイーストを私が歩いていた最中である。
「今週、東京で会えないか?」という問い合わせへの返答は、彼のつくった数多くの C ファンドのリンク先であった。
チェックすると、1997年からなんと300パーセントものパフォーマンスである。
「投資の天才」とは、まさしく彼のことだろう。
この日、金は1トロイオンス2988ドルと高値であり、しかも上昇は止まらない。
銀高騰も止まらない。
しかし、大きな売りサインは出ている、と私は判断している。
この原稿を書いている3月上旬の時点で、テクニカルやトレンドから、3月3日ごろまでは金、銀、銅、原油、商品の価格上昇の可能性が否めない。
だが、いつ落ちてもおかしくはない。
過去のパターンは、あと数日はこの市場の乱高下ダンスが止まらないことを示している。
オイル(原油)9.56倍、コーン(トウモロコシ)3.58倍、大豆3.77倍、小麦6.16倍、銅6.66倍、ニッケル3.55倍、スズ(錫)5.2倍、ゴールド(金)3.84倍、プラチナ6.52倍、コーヒー4.27倍。
すべてのブル・マーケット(強気の相場)の最後は、穀物の出番である。
大豆、トウモロコシ、小麦は最高値を更新し、とくに小麦は歴史的高値をつけた。
今回の上昇は、7年で平均317パーセントものパフォーマンスなのだ。
140年間の歴史のなかでもっとも上昇したのが1974年の312パーセントだったが、それを超えてしまっている。
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